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ブログ 土壌汚染とは

ヒ素で汚染された土壌を活用することはできますか?

有害物質

ヒ素・・・現在確認されている118種類の元素の中でも、ヒ素ほど汚名を着せられている元素が他にあるでしょうか?

 

皆さんの記憶にも新しい「あの事件」がきっけかであることは間違いないでしょうが。

 

もちろん人の身体にとって毒であることには違いありませんが、だからと言ってそこまで悪者扱いすべき物質なのか?甚だ疑問です。

 

ヒ素は土壌汚染対策法に規定されている特定有害物質のうちの1つであり、規制されるべきものであることは事実。基本的にヒ素で汚染された土壌をそのまま活用することはできず、活用するためには様々な規制や行政指導に基づいて行わなければなりません。

 

今回は土壌汚染対策法で規制されるヒ素についてより冷静に、より客観的な視点を持ってお話いたします。

 

 

ヒ素って何?

ヒ素とは、周期表でいう原子番号33の元素、窒素やリンと似たような性質を持ちます。

基本的に生物に対する毒性が非常に高く、その毒性を利用して農薬や木材防腐剤などに使用されます。

 

もちろん、ヒ素の特徴は「毒性が高い」というだけのものではありません。他にはこのようなところで使用されています。

 

・発光ダイオード

・通信用の高速トランジスタ

・梅毒の治療薬、解毒剤、抗炎症剤

 

「なるほど、通信系の技術の材料として使われるわけか・・・ん?治療薬、解毒剤?」

 

実は、梅毒の治療薬として使用されていたのは抗生物質であるペニシリンが発見される以前の話です。また、解毒剤や抗炎症剤として使用されるのは中国医学での話です。無論、ごく微量です。

 

もともとは天然に含有しているヒ素化合物から生成したものであるため、私たちの生活の中に知らないうちに含まれるような物質ではありません。よって、通常の生活で人がヒ素に脅かされるようなことはありません。

 

 

人体に与える影響は?

もはや「ヒ素と言えば毒」が一般的にも知れ渡っているほど、ヒ素の毒性は有名です。もちろんヒ素は、人体にとって毒、いや猛毒!!これは疑いようのない事実です。

 

仮に人が誤ってヒ素を体内に取り入れてしまった場合の症状を羅列してみると・・・こうなります。

 

吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、黄疸、皮膚炎、腎不全、癌・・・重度の中毒症状で死もあり得るという恐ろしい物質です。

 

ただ、人の体内における必須元素でもあり、100%純粋な悪者というわけでもありません。現に一般家庭の食卓に上がることも多いヒジキには微量のヒ素が含まれており、ヒジキを食べ過ぎてヒ素中毒の症状が出た!などという事例は存在しません。

 

では、どういう時にヒ素による人への被害が出てしまうか?

 

突発的な事故などによる被害は当然ありますが、特に被害が大きく多数の死傷者が出た3事件について以下にお話します。

 

 

土呂久ヒ素公害

1920年から1962年までの間の計30年間、宮崎県西臼杵郡高千穂町の旧土呂久鉱山で、ヒ素化合物の生成が原因で発生した公害事件です。

 

かつて漢方薬などとして使われてきた「亜ヒ酸」を製造する工程で「亜ヒ焼き」なる作業工程があり、そこから排出される煙や粉塵、洗浄水の川への流出が原因で起きたものであり、皮膚の色素異常や肺がんなどの重度の健康被害が発生しました。

 

森永ヒ素ミルク中毒事件

1955年頃、西日本を中心としてヒ素の混入した森永乳業製の粉ミルクを飲用した多数の死者や中毒患者を出した事件です。

 

乳幼児を対象とした商品毒物混入事件であり、1万人以上の乳幼児に神経障害や臓器障害の症状が確認され、100人以上の死者を出すという大惨事へと発展しました。

 

この事件はやがて政治的背景も暴かれることとなり、後々まで尾を引く極めて深刻なものとなってしまいました。

 

和歌山毒物カレー事件

1998年7月に和歌山県で発生したヒ素混入・無差別殺傷事件。地域の夏祭りで提供されたカレーに大量のヒ素が混入され、カレーを食べた67人に中毒症状が発現、うち4人が死亡しました。被疑者の女性は起訴され最高裁にて死刑が確定しました。

 

上記3事件からもわかるように、ヒ素は人体に取り込まれると極めて深刻な症状を引き起こし、最悪の場合死に至ります。しかし、日常生活で誤ってヒ素を体内に取り込む可能性は極めて低いと考えられています。

 

 

 

自然由来特区の原因物質って何?

通常土壌汚染調査対象となった土地は、まず土地履歴調査が実施され、その結果土壌汚染の疑いがあると判断されれば、実際に土壌試料採取および分析を実施し、土壌汚染の有無を確認します。

 

土壌汚染が人の事業活動を原因とするものであれば当然汚染は確定しますが、仮に土壌汚染の可能性が人の事業活動以外の原因である場合、その土地は自然由来特区とされます。

 

実は、基本的に土壌汚染対策法で規定される土壌汚染の定義は人の事業活動による土壌汚染とされていますが、土壌汚染対策法自体、土壌汚染を原因とした人への健康被害を防ぐことを目的としています。

 

したがって、土壌汚染が人の事業活動によるものであろうと、それ以外が原因であろうと人への健康被害には変わりない!ということで、汚染の原因如何に関わらず、土壌汚染と判断されることとなったのです。

 

ただ・・・自然に存在するものまで汚染と判断してしまうことには、多くの反対意見がありました。まあ、当然だと思います。ヒ素もその他の重金属も地中には果てしなく存在するはずですから。

 

そのため、特に人の健康被害の原因となりそうな地域に限って自然由来特区という名称で認定されることとなったわけです。

 

 

どんな地域に多いの?

さて、この自然由来特例区域ですが、条件が厳しいため指定された例は多くありません。

 

現在自然由来特例区域に指定されている場所は全国に80件、形質変更時要届出区域に指定されている場所が1336件であることを考慮すると、非常に稀な例だということが言えると考えられます。

 

自然由来特例区域に指定されるためには、以下の3つの点が検討材料となり、最終的に各地方自治体が判断するということになっています。もちろん、調査対象地の土壌汚染調査結果で基準不適合が判明したことが前提です。その上で・・・

 

・基準不適合となった特定有害物質の種類

・基準不適合となった特定有害物質の含有量が一定の濃度範囲内であること

・基準不適合となった特定有害物質の汚染範囲の状況

 

これらの状況を踏まえた上で、自然由来特例区域に指定するか否かの判断が行われることになるのです。

 

なお、自然由来特例区域に指定される土地に特徴は見られないようです。山岳地域に自然由来の重金属が多く見受けられることがありますが、いずれも自然由来特例区域の指定を受けていません。

 

本来、人の事業活動による土壌汚染を何らかの形で対処すべきであり、それ以外の土壌汚染は、自然に存在する、いわばそこの自然の特徴であり汚染とは全く異なります。

 

確かに人に害を及ぼす可能性があるならば、何らかの対処は必要かもしれませんが、自然に存在するものを人の都合で形を変えてしまおうというのは、本来ならば、それは人のエゴに他ならない。

 

もちろん、行政でもそのことは承知しているのでしょう。それゆえ自然由来特例区域に指定される事例が非常に稀であるということは当然の成り行きと言えるでしょう。

 

 

微生物でヒ素を除去できるって本当?

土壌汚染対策法で規定されるヒ素は、第二種特定有害物質であり、重金属です。従って、基本的に土壌中ヒ素の除去方法は不溶化もしくは掘削除去が知られていますが、手間もコストも非常に高いというデメリットがあります。

 

そこで考案された手法が微生物による除去です。とは言っても、ヒ素のそのまま微生物が食ってくれる!というようなメカニズムではありません。そもそもいくら微生物が食ったところでヒ素はヒ素ですから。

 

ヒ素の除去における微生物の役割は、本来土壌への結合性や吸着性が強いヒ素化合物を弱い化合物に変質させてしまうことにあります。

 

土壌汚染の原因となるヒ素は土壌への結合性や吸着性が強く、そのため土壌中に残りやすいという性質があります。そのヒ素化合物の名を「ヒ酸」と言います。

 

もちろん「ヒ酸」のままでは、土壌中の残存状態は変わらず解決には至りません。そこで微生物の力で、この「ヒ酸」をより土壌への結合性や吸着性が弱い「亜ヒ酸」に変質させてしまおうというのが、このヒ素の微生物処理の趣旨です。

 

「亜ヒ酸」に変質した土壌中のヒ素は、夕食後の食器洗いのように水で簡単に洗い流すことができます。

 

ヒ素が溶け込んだ水は、沈殿処理により回収され鉱物資源として再利用されることになります。

 

洗浄された土壌は、再び元あった場所へと埋め戻されるというわけです。

 

 

一般的な除去方法は?

先ほども言ったように、現在のところ最も多く実施されているヒ素の除去方法は不溶化もしくは掘削除去です。

 

最も手っ取り早く、わかりやすく汚染の除去ができるという点ではメリットかもしれませんが(そもそも除去されているかも疑問ですが)。しかし、コストが莫大なものになってしまうという非常に大きなデメリットのため、除去しようにもできないままで放置されてしまっている土地が問題となっています。

 

微生物による除去技術がさらに進化すれば、土壌汚染問題の解決へ前進することができると期待しています。

 

まとめ

これまで数々の公害事件や中毒事件の主役を張ってきたヒ素、悪役という面で極めて著名ですが、その一方で体内必須元素でもあります。

 

食卓にもよく上がるヒジキには微量にヒ素が含まれていますし、地方で湧き出る温泉の成分を調べると、非常に高い濃度のヒ素が検出されることもあります。

 

もちろん土壌中に残存するヒ素は除去すべき対象であることには間違いありませんが、自然由来特例区域に該当するか否かでその取り扱いは大きく異なってきます。

 

毒にも薬にもなるヒ素という存在を、今私たちがどう取り扱うべきなのか。ヒ素というものをもう一度見直し、その取り扱いを現代に生きる私たちがしっかりと考えていかなくてはいけませんね。

 

 

 

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