地歴調査(フェーズ1調査)
地歴調査は1945年頃から現在に至るまでの下記に示す資料を収集し、土地利用の履歴等を調査し、対象地における汚染の可能性を定性的に評価します。
住宅地図
地図の一種で表札表示による居住者を表示した地図です。表記されている内容の過去から現在までの変遷を調査します。
登記簿謄本・公図
権利関係などを公示するために法務局に備えられている書類です。土地や建物についての状況や権利関係を示した不動産登記、会社についての一定の情報を記載した商業登記などがあります。また、公図とは、登記された一筆の土地ごとに区切られた地図で、土地の位置関係や地番を記載した地図にあたります。権利者や事業内容を確認し、変遷を調査します。
地形図
土地の標高を平面上に等高線を用いて表記するとともに、地形および目印になりやすい人工物、植生などの地表状態(田、畑等)都市・集落やその名称など、地表物と地形の位置関係を平面上に表示した地図にあたります。地形の変化や標高の確認、住宅地図では追えない年代の状況を調査します。
航空写真(空中写真)
気球、人口衛星、航空機などから地表面に向けて撮影した写真です。過去から現在にかけて目視で変遷を調査します。
地質情報(地質図・柱状図)
対象地および周辺の地質や地下水の水位等を調査します。
関連法令・環境公開資料(土壌汚染対策法、関連条例、指定区域の情報等)
水質汚濁防止法および下水道法による特定施設の届け出の有無、各都道府県における関連条例、土壌汚染対策法に関する指定区域を調査します。
現地踏査
対象地の使用状況、目視による土壌汚染の可能性を調査します。
ヒアリング調査
2.概況調査(フェーズ2調査)
表層土壌調査は実際に表層の土壌および土壌ガス(土壌中の空気)を採取・分析を行うことで、定量的に評価します。
■土壌ガス調査 【第1種特定有害物質(揮発性有機化合物)の調査】
採取地点
採取は、汚染のおそれが多い場合は100㎡に対し1地点の割合で採取、分析を実施します。汚染のおそれが少ない場合は900㎡に対し1地点の割合で採取します。
採取地点図(図は汚染のおそれが少ない場合)
採取方法
φ20㎜程度の穴を表層から深さ0.8m~1mまで削孔しそこから土壌ガス(土壌中の空気)を採取し、分析します。
土壌ガス調査 概略図
■表層土壌調査 【第2種(重金属類)・第3種(農薬類+PCB)特定有害物質の調査】
採取地点
対象地が汚染のおそれが多い場合は100㎡に対し1地点の割合で採取、分析を実施します。汚染のおそれが少ない場合は900㎡に対し5地点を採取し、混合して一つの検体で分析を実施します。(5地点混合法)
採取地点図(図は汚染のおそれが少ない場合)
採取方法
コンクリートやアスファルト、砕石などの被覆部があればコアカッター等で除去し、土を露出させたうえで土壌を採取します。土壌試料は上部の0~5㎝の部分と下部の5~50㎝の部分を分けて採取し、分析の際は1:1の割合で混ぜます。
表層土壌調査 概略図
3.絞り込み調査/詳細調査(ボーリング調査)
汚染範囲を絞り込み、絞り込んだ箇所を深度方向への調査を行い、3次元的に汚染分布を把握します
採取地点
概況調査の結果、土壌ガス調査において第1種特定有害物質(揮発性有機化合物)が検出された場合や、表層土壌調査において第2種(重金属類)第3種(農薬類、PCB)特定有害物質が指定基準値を超過した場合は、100㎡単位で平面的に絞込を行います。絞り込み調査の結果、指定基準値の超過箇所を把握し、その地点でボーリング調査を実施します。
*注 汚染のおそれが多い地点については、すでに100㎡ごとに調査を実施しているので絞り込み調査の実施は必要ありません。
絞り込み調査 地点図
採取方法
深度方向への広がりを確認するため、深度10 mの詳細調査(ボーリング調査)を実施し、深度1m毎ごとに採取、分析を実施します。(*注 特定有害物質によって採取深度が異なります。)また、土壌溶出量基準に不適合の地点が確認された場合は、ボーリング調査に伴い地下水観測孔を設置し、地下水の水質分析や水位の測定を実施します。
ボーリング調査 概略図
自走式ボーリングマシン
4.土壌浄化対策
土壌浄化対策は次のような方法があります。
汚染を除去せず、その場に封じ込め等を行う方法
■溶出量基準超過(地下水摂取リスク)に対しての措置
- ①原位置封じ込め
- 不適合な土壌を遮水壁(鋼矢板等)で封じ込め、汚染土壌の拡散を防止する。
- ②遮水工封じ込め
- 不適合な土壌を遮水シートで封じ込め、汚染土壌の拡散を防止する。
- ③遮断工封じ込め
- コンクリートで汚染された土壌を囲い、封じ込める。第1種定有害物質には適応できない。
- ④原位置不溶化
- 薬剤を汚染土壌に混ぜ、汚染物質が溶け出さないように行う処置。しかしながら処置の結果、溶出量試験にて超過が認められなくても、健常土としては扱うことができない。
■含有量基準超過に対しての措置(直接摂取リスク)に対しての措置
- ①舗装措置
- コンクリートまたはアスファルトで舗装し、土壌が飛散しないようにする。
- ②盛り土処置
- 50㎝以上の盛り土を行い、汚染土壌が飛散しないようにする。
汚染を完全に除去する方法
■溶出量基準超過(地下水摂取リスク)に対しての措置
- ①バイオレメディエーション
- 微生物により生物的に特定有害物質を分解させる。
- ②化学処理
- 薬剤を添加し、化学的に特定有害物質を分解させる。
- ③掘削除去
- 汚染土壌範囲を掘削し除去する。
■含有量基準超過に対しての措置(直接摂取リスク)に対しての措置
- ①掘削除去
- 汚染土壌範囲を掘削し除去する。