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ブログ 土壌汚染とは

豊洲地下水で話題になったベンゼン汚染とはどのようなものですか?

ベンゼン

豊洲市場が開場してから数ヶ月、豊洲の土壌汚染問題は下火になりつつありますが、残念ながら豊洲の地下に眠るベンゼンが勝手に消えてなくなることはありません。

 

今もなお地下にはベンゼンに汚染された地下水が流れ、海へと流れて海の汚染源となっています。この現状を日本政府も東京都もどうすることもできずにいます。

 

ベンゼンは、各環境関連法案で規制物質として指定される物質です。生物に対して重大な疾患の原因になると考えられており、工場や研究機関での使用にも厳重な管理が義務付けられています。

 

今回はそんな土壌中および地下水中のベンゼン汚染についてお話いたします。

 

 

ベンゼンとはどのようなものですか?

そもそもなぜ豊洲の地下でベンゼンに汚染された地下水が検出されたのか。その理由は、豊洲という土地が東京ガスの都市ガス製造工場として使用されていた時代に遡ります。

 

かつての豊洲は、東京ガスの巨大工場でした。海からタンカーで運ばれる石炭を受け入れ、石炭から都市ガスを製造していました。

 

都市ガスは、石炭を乾留しそこから発生するガスを精製することで製造されます。

 

乾留とは、主に石炭に含まれる化学物質を取り出すために用いられる手法であり、石炭を蒸焼きにして揮発した分をガスとして追い出しコークスを残す、というものです。

 

乾留により取り出される化学物質の中でも実際に化学製品に使用されるものは、トルエン、キシレン、コークス、コールタールなどですが、その中でも最も重要な化学物質がベンゼンなのです。

 

今でこそ人体への発ガン性が疑われるために、規制対象物質という扱いを受けているベンゼンですが、数ある芳香族化合物の中でも最も基本的な構造式を持つものであり、化学品を扱う現場、特に研究施設では欠かせない物質でもあるのです。

 

 

どのような影響がありますか?

大量の美しい水に恵まれた日本

今でこそ水道水が当たり前で、日常生活で使用する水のほとんどは蛇口をひねって出しているはず。もちろん私もそうですし、よほどお金に困って水道代すら払えない状況に陥らない限り、水が尽きるなどということは考えられません。

 

蛇口から出てくる生水のそのまま飲用として飲むことができるのは、日本くらいだそうです。知っていましたか?

 

それほどきれいな水をさらにきれいにしようと、蛇口に浄水器を取り付ける家庭もあります。中には風呂の水すら浄水器の水を使用する家庭もあるそうで、ちょっとびっくりです。

 

水道水ばかりではありません。一昔前の日本では井戸水が当たり前でした。映画「となりのトトロ」で主人公の女の子が慣れた手つきで手押しポンプを使って水を汲み上げているシーンがあります。映画の時代設定は定かではありませんが、自転車や車が描かれている点から百年も前の話ではないと推測されます。

 

現代でも「海洋深層水」のような地下水を謳った水がペットボトルで発売されていたり、地下水を使った手打ち蕎麦を売り文句にしているこだわりの蕎麦屋さんがあったりします。

 

昔も今も、大量の美しい水に恵まれた日本、生活を支える極めて貴重な資源と言えるでしょう。

 

 

自然濾過で取り除くことができないベンゼン

今は生活で使用されるほとんどの水が水道水です。公的機関で厳しい基準のもと処理、浄化された水であるので飲用にも出来るし、雑菌や有害物質による汚染はあり得ないと言っていいでしょう。

 

では地下水はどうか?以前もお話したことがありますが、地下水は人の手による処理や浄化が施されているわけではありません。

 

雨水が地面に降り注いで、地中へて染み込んでいく過程で不純物が自然濾過されて地下水となるわけです。

 

人の手で処理や浄化がされないからこそ、自然のミネラルが豊富で美味しい地下水となるのですが、人体に有害な雑菌や有害物質も混入しやすいという欠点もあります。

 

その欠点が異常な形で露呈してしまったのが、ベンゼンによる地下水汚染なのです。

 

先ほども言ったように、地下水は地中に染み込む過程で自然濾過されます。不純物はきれいに取り除かれ、ミネラルたっぷりの美味しい地下水が出来上がります。

 

ところがベンゼンは自然濾過されません。ベンゼンだけでなく、多くの揮発性有機化合物にも共通する特性ですが、地中への浸透力はコンクリートやアスファルトすら簡単に浸透するほど高いのです。

 

つまり、地上でベンゼンを含んだ汚染水が地中に染み込むと、自然濾過されることなく地下へと浸透し続け、やがて地下水の流れに合流してしまうことになるのです。

 

そうなると、どこまでベンゼンによる地下水汚染が拡大し続けるか予測すら困難です。

 

 

 

どのような方法で調査しますか?

 最悪の場合、地下水をどこまでも汚染し続けるベンゼンですが、その調査方法は土壌汚染対策法で規定されている手法が基本となります。以下に調査方法について説明します。

 

表層土壌ガス調査

ある土地の地歴調査でベンゼンによる土壌汚染の可能性が浮上した場合、まず初めに取り掛かるべき調査が表層土壌ガス調査です。

 

地上から0.cm〜1.mの深さの土壌中滞留する土壌ガスを採取し、そのガス中に含まれるベンゼン濃度を測定する、という調査手法です。

 

土壌ガス、と言っても地中にガスが溜まった空洞があるわけではありません。基本的に地中は土壌で満たされていますが、隙間には外気と遮断されたガスが溜まっているのです。

 

ベンゼンは揮発性であるため、土壌がベンゼンで汚染されていれば、土壌ガスもまたベンゼンで汚染されていることになるのです。

 

なお、土壌ガス調査の目的は土壌中のベンゼンの有無はもちろんですが、検出された場合、ベンゼンの表面的な汚染の範囲を確定させることにあります。

 

その土地におけるベンゼン汚染の全体図を把握するために、非常に重要な調査です。

 

 

深度調査

土壌ガス調査でベンゼンが検出、その汚染範囲を確定させた後、次はその汚染の深さを調査しなくてはなりません。これを深度調査と言います。

 

土壌ガス調査でベンゼンが検出された箇所の中で最も濃度が高い箇所を選択します。その箇所が深度調査の対象となるのです。

 

基本的に深度調査は、地上から鉛直下に10mまでのボーリング調査を実施し、1mごとにベンゼン測定用の土壌試料を採取します。

 

ベンゼンが検出された最も深い深度がそのままベンゼンによる土壌汚染の深度ということになります。

 

 

地下水調査

土壌汚染調査を行なう上で最も重要な調査と言っていいでしょう。なぜなら、ベンゼンは地下水の流れに乗って拡散されていくためです。

 

深度調査では地上から鉛直下に10mのボーリングが規定されています。例えば、地下水位が3mだとしたら、当然地下水に当たることになります。地下水を確認した時点で直ちにボーリングを中断、地下水の採取を実施します。

 

この時注意すべきは、地下水を確認した時点での地層です。もし、地下水を確認した深度の地層が粘性の強い土壌だった場合、ボーリングは一旦そこで中止しなくてはなりません。

 

なぜなら、地下水がベンゼンで汚染されていた場合、ボーリングによってベンゼンで汚染された地下水がさらに地中深くに流れてしまうことになるためです。そうなるとベンゼンによる汚染は確実に拡散されてしまいます。

 

地下水が危ない!

 

基準値を教えてください。

土壌汚染対策法で規定されるベンゼンの基準は、表層土壌ガス濃度、土壌溶出量基準、地下水基準の3種類が規定されています。基準となる値は以下の通りです。

 

表層土壌ガス濃度:0.05volppm

土壌溶出量基準 :0.01mg/L以下

地下水基準   :0.01mg/L以下

 

それぞれ説明いたします。

 

表層土壌ガス濃度

表層土壌ガス調査で規定されているベンゼン濃度は0.05volppmになります。聞き慣れない単位ですが、これはベンゼンが揮発した状態での濃度であるため、このような単位となるのです。Volとはボリュームのこと、つまり体積で換算していることを示しています。

 

また、ppmとは百万分率を表す単位です。つまり0.05volppmとは、100万分の0.05を占める体積がベンゼンの基準濃度ということになるのです。

 

土壌溶出量基準

土壌溶出量とは、ベンゼンで汚染された土壌がある一定の条件で地下水へと溶出される濃度を示しています。つまり、地下水がベンゼンで汚染された土壌に曝露された時の地下水中のベンゼン濃度が0.01mg/L以下でなくてはならないのです。

 

地下水基準

地下水基準はそのまま地下水中のベンゼン濃度を示しています。土壌溶出量基準と同様、ベンゼン濃度が0.01mg/L以下でなくてはなりません。

 

基準があるんだ!

 

どのような施設跡に検出されますか?

先ほども言ったように、ベンゼンは最も基本的な構造式を持った化学物質であり、様々な工場や研究機関で使用されていました。

 

近年、ベンゼンの発ガン性の可能性が疑われ、各環境関連法案で規制対象物質に指定されたため、使用量は減少傾向にありますが、一部の研究機関では、厳重な管理のもと使用が継続されています。

 

では、どんな施設で主に使用されていたか。

 

プラスチック製造業、金属加工業などがその代表です。プラスチック製造の過程で、原料を溶解させるための有機溶剤として大量に使用されていました。金属加工業では、金属に塗布された塗料などを洗い流すために使用されていたこともありました。

 

また、もともとガソリン中にはベンゼンが少量含まれているため、ガソリンスタンドでもベンゼンが検出されることがあります。

 

まとめ

今でこそ、ベンゼンは厳重な管理のもとで使用されていますが、かつてベンゼンは大量に使用されていました。業種によっては文字通り「湯水のごとく」です。

 

もちろん、そんなベンゼンが今の便利な世の中を支え、科学の発展に貢献したことは言うまでもありません。

 

しかし、発ガン性というベンゼンの毒性が判明した以上は、ベンゼンの使用は極力抑えなくてはなりません。厳重な管理も必要不可欠です。

 

豊洲市場の地下には未だに未知なる負の遺産のベンゼンが、眠っています。一体どれほどの量のベンゼンが地中に眠っているのか、おそらく現代地質学をもってしてもそれを解明することは極めて困難でしょう。まして現行の土壌汚染対策法での解決など不可能です。

 

今もなお日本各地の土壌中に眠るベンゼンが、人の健康を脅かすことがないように祈るばかりです。

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