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ブログ 土壌汚染とは

ブラウンフィールドについて

土壌汚染

ブラウンフィールドとは何か?

シンプルに言葉の意味を説明するならばこうなります。

 

「一度、都市的な利用をされたけれども、何らかの要因で、見捨てられ、再利用されない土地」

 

東京や大阪のような大都市でも、その他の政令指定都市でも、なぜか空き地になって使われている様子がない土地を見かけることがよくあります。

 

土地の所有者にも様々な事情があるのでしょう。例えば、土地利用しようにも利用手段がない、土地の買い手がつかないなどといった理由が考えられます。

 

それがブラウンフィールドという言葉の意味です。それ以上でもそれ以下でもありません。

 

ただ、このブラウンフィールドという言葉は土壌汚染の業界でも使われることがあります。その場合、単なる空き地という意味ではなく、土壌汚染がはらむ数ある公害問題の中でも最悪の土地の状況を示す意味となります。

 

今回はそんな土壌汚染としてのブラウンフィールドについてお話いたします。

 

土地に問題がある

 

ブラウンフィールドって何?

「一度、都市的な利用をされたけれども、何らかの要因で、見捨てられ、再利用されない土地」

 

冒頭でお話しした通り、これがブラウンフィールドという言葉の意味ですが、これを土壌汚染に当てはめると最悪の問題が浮かび上がってきます。

 

どういうことか?

 

ブラウンフィールドを土壌汚染に当てはめると、このような意味になるためです。

 

「土壌汚染が発覚した土地であるにも関わらず、土壌浄化費用を賄うことが出来ずに塩漬け状態で放置された土地」

 

本来ならば、土壌汚染が発覚した土地はその原因者や土地所有者などにより浄化され、また別の用途で使用されるか、もしくは売却されます。

 

しかし、土壌汚染の所有者である事業所が倒産した場合、責任者が自己破産した場合は所有権が他者に移り、その事業所はその土地に対する責任がなくなります。

 

その場合、次の所有者が土壌浄化をすることになるのですが、ほとんどの場合、莫大な土壌浄化費用を賄うことはできません。

 

莫大な浄化費用を負担してでも浄化する価値のある土地と判断されれば別ですが、そうでないと土地は浄化されることもなく、土地を利用することもできないため立ち入り禁止の措置が取られたまま永い眠りにつくことになってしまうのです。

 

浄化することも、使用することも、立ち入ることもできなくなった土地、それがブラウンフィールドなのです。

 

 

 

ブラウンフィールドにより発生している問題はありますか?

土地価格と浄化費用

ブラウンフィールドによる問題でも最も大きなものが、土地価格の大幅な下落です。

 

そもそもブラウンフィールドとなった土地は、土地売買が成立することは稀です。

 

一般的に土壌対策費は土地価格の20%〜40%を超えると土地売買が不成立になる事例が多くなると言われています。

 

ところが、土壌汚染が深刻化した土地は、浄化費用が莫大なものになってしまい、その価格は数千万円から1億円、もしくはそれ以上になるケースすらあります。

 

それはすなわち土地価格の50%を超えることになり、土地売買の成立はほぼ絶望的という状況になることが多いのです。

 

掘削除去という浄化の大きな費用

様々な問題点を含むブラウンフィールド、その原因もやはり多岐に渡ります。その中でも最も大きな問題となっているのは、土地の浄化費用です。

 

土壌汚染の原因物質が第二種特定有害物質である場合、最も頻繁に用いられる浄化手法が掘削除去です。

 

土壌汚染調査で汚染されている範囲と深度を確定し、その範囲をバックホウ等で掘削除去し、代わりに綺麗な山土で埋めもどす。

 

誰が見てもわかりやすい浄化方法であり、間違いなく土壌が浄化されたかのようにも見えます。土壌汚染対策法でも認められた手法であり、行政でも推奨されます。

 

ところが、この掘削除去という手法は、どうしても費用が莫大なものになってしまいます。

 

掘削除去するためのバックホウとオペレーター、浄化費用、汚染された土壌の処理、埋め戻し用の山土の購入費用・・・もちろん土壌汚染の範囲、深度にもよりますが、場合によっては土地価格と同等の費用がかかる可能性すらあるのです。

 

しかも、この手法は汚染されていない土壌もひっくるめて除去してしまうことが多く、結果的に全く意味のない掘削となってしまう。

 

誰が見ても確実に浄化されているように見える掘削除去ですが、土壌汚染対策法で規定される数ある浄化手法の中でも、最も費用がかかってしまう愚策と言わざるを得ない手法なのです。

 

 

 

ブラウンフィールドが及ぼす影響は?

ブラウンフィールド問題の危険性

土地の価格がほぼゼロとなってしまう、土地の売買が成立しなくなる・・・

 

確かに大きな問題です。

 

しかし、ブラウンフィールドが及ぼす最大の悪影響は、周辺土壌や地下水への汚染の拡大です。

 

考えてもみてください。ブラウンフィールドとは、浄化しようにもできず、汚染をはらんだまま塩漬け状態となった土地のことです。つまり、汚染があるにも関わらず、いかなる対策も取られないのです。

 

以前もどこかでお話ししたことがありますが、地面の下は地層や地下水、土壌の間隙にある空気が入り組んだ構造を持っています。

 

地下水は高いところから低いところへと流れるという自然の法則に反することはありませんが、汚染物質の拡散メカニズムは極めて複雑であり、地質学者の知識や経験をもってしても、その解明は容易なことではありません。

 

いかなる対策が取られることもなくただ放置された土壌汚染を孕んだ土地、そこに端を発した汚染がどこまで拡散してしまうのかを考えると、ブラウンフィールド問題がいかに危険かということは想像に容易です。

 

土壌汚染調査すらされない土地

ブラウンフィールドには2つの種類に分けられると考えられます。

 

1つ目は、土壌汚染調査の結果から土壌中の汚染が発覚したものの、浄化費用を賄うことができずそのまま放置された土地。

 

2つ目は、土壌汚染調査をするまでもなく確実に汚染されているが、土壌汚染調査すら実施されない土地。

 

基本的に土壌汚染調査義務が発生するのは、土壌汚染対策法第3条で規定される有害物質使用特定施設の設置があった事業場が廃止された後、そして法第5条で規定されている土壌汚染による人への健康被害の可能性がある場合です。

 

つまり、上記に該当しない限り土壌汚染調査の義務は発生せず、汚染の有無すらわからないまま放置されることになる・・・

 

その間、まるで壊れた蛇口のように有害物質は土壌中や地下水に漏れ続け、どこまでも拡散してしまうことになるのです。

 

 

 

解決するためにどうすればよいですか?

では、このブラウンフィールド問題をどう解決すれば良いのか。

 

単純にブラウンフィールドを無くすには、国が土壌浄化費用を負担すれば解決します。もちろん莫大な費用を使うことになりますが、少なくとも汚染の塩漬け状態の土壌は無くなるでしょう。

 

ただ、それで万事解決かというと、全くそうは思いません。なぜなら、土壌汚染対策法自体に大きな問題があるからです。

 

私が先ほど掘削除去という土壌浄化手法を愚策だと断罪した理由もそこにあります。

 

掘削除去では真に土壌浄化は果たされないのです。なぜか?

 

例えば、土壌汚染調査である土地の土壌汚染が発覚したとします。有害物質による汚染濃度は極めて高く、地上から5m下まで汚染されていることが判明しました。

 

この時、土壌浄化対策工事の範囲は、その土地の敷地範囲内に限定されます。さらには、汚染が判明した単位区画の範囲内に限定されるのです。表層土壌で汚染が確認されなかった範囲は汚染がなかったと判断され、敷地外に至っては、近接していようと土壌汚染調査の義務すらありません。

 

もちろん地下水汚染の調査も実施されますが、それも汚染が確認された単位区画に限定されます。

 

これって・・・なにかおかしくありませんか?

 

この記事を読んでいるあなたも幼い頃に小さなスコップで地面に穴を掘って遊んだことがあると思います。

 

掘り始めて5cmほどは順調に掘ることができたが、それよりも下になると土の色が変わり、同時に土が固くなって掘りにくくなったという経験を覚えていませんか?

 

地面の下にはミルフィーユ状に地層が重なっており、土質も地層ごとに異なるということは一般常識としてあなたもきっとご存知のはずです。

 

それを踏まえて、地面の下に漏洩してしまった液状の有害物質がどのようにしみ込んでいくか、考えてみてください。

 

漏洩した箇所から真下へ一直線状に染み込んでいくか、あるいは地層や地下水の影響を受けて複雑な経路で拡散していくか・・・当然、後者のはずです。

 

ところが、土壌汚染対策法は前者の考え方を大前提として土壌汚染を捉えているのです。だからこそ掘削除去が正しい土壌浄化手法であると判断されてしまうのです。

 

つまり、ブラウンフィールドは、単に敷地範囲内の土地の汚染だけで済む問題ではなく、周辺の土地や広範囲にわたる地層、地下水の汚染をも引き起こす極めて重大な問題なのです。

 

では、一体どうすることが最も正しいのか?どんな解決策が正解なのか?

 

私なりの考え方を「まとめ」に記します。

 

まとめ

 

改正を重ねているとはいえ、現行の土壌汚染対策法でブラウンフィールド問題は解決しません。断言します。

 

もちろん土壌汚染対策法がブラウンフィールド問題を引き起こしたとは思いませんが、残念ながらこういった問題の発生は必然だったのでしょう。

 

ではどうしたらいいのか?

 

土壌汚染対策法が施行されてから16年になりますが、調査・浄化対策の技術は飛躍的に伸びてきたとは言えません。もちろん、技術的革新はこれからも進めていかないといけませんが、物理的な問題もあるためそう簡単にはいかないでしょう。

 

であるならば、土壌汚染対策法の規制緩和を行うことで、今以上に現実的な土地利用ができるようになり、ブラウンフィールドの解決につながると思われます。

 

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